「生理休暇って取っても良いの?」「同じ会社の人にずるいって思われない?」とお悩みではありませんか?
実は生理痛に耐えながら、出勤する必要はありません。この記事を読み終えれば、「ずるい」と思われない生理休暇の取り方が分かりますよ。
今回は、労働基準法で定められた休暇制度である「生理休暇」について詳しく解説していきます!
生理休暇の基礎知識はもちろん、伝え方を含む取りづらい場合の対処方法までお伝えしていきます。
生理がつらい時は、無理をしてまで出勤せず、ゆっくりと休める環境をつくっていきましょう。
記事まとめ
・生理休暇とは?…労働基準法で定められた休暇制度だから気兼ねなく取得しても良い!
・生理休暇を取る方法は?…事業所に生理休暇を請求!診断書の必要はなく自己申告で良い。
・生理休暇を請求しにくい場合は?…伝え方の工夫や生理痛が重いことを予め申告しておけば取得しやすくなる!
生理休暇とは?労働基準法で定められた休暇制度
生理休暇は法律で認められている制度であり、「生理日に仕事をするのが困難な場合に、休みを取ることができる」というものです。
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。引用元:e-Gov法令検索
上記のように労働基準法で定められており、事業所の就業規則に記載がなくても取得が可能です。
さらに、生理休暇の対象者は、「生理日の就業が著しく困難な女性」と定められているように、雇用形態や勤続年数、年齢に関わらず取得が可能です。
正社員でなくてもパートやアルバイト、派遣社員でも、生理休暇の請求を行えます。また、事業者は請求があった場合に拒否することはできません。
ただし、「生理日の就業が著しく困難」という条件に該当する場合のみ取得可能であり、「生理だったらいつでも休める」というわけではありません。
「生理痛があるけど、無理して出勤している。」という方は取得ができます。就業が困難と感じる日は、生理休暇を利用するようにしていきましょう。
生理休暇があるとわかっても、「どのように取得すれば良いのかわからない。」という方も少なくありません。
こちらでは、生理休暇を取る前に知っておくべき情報を6つご紹介していきます。
知っておくべきポイント!
・取得日数に制限はない!
・請求する人の割合は3.3%
・無給となる会社が多い
・取得が多いと有給休暇に影響!
・当日の連絡でも取得可能!
・不正取得は懲戒処分になる!
上記6つの情報は、トラブルにならないようにするためにも、最低限知っておくべきです。それぞれの情報を詳しく解説していきます。
1. 法律上では生理休暇の取得日数に制限はない
生理休暇の取得日数や期間に、制限はありません。
生理痛の重さや従事している仕事内容により、それぞれ異なるため、基準は設けられていません。
事業主は就業規則で「生理休暇は〇日まで」のように、独自の生理休暇日数の制限をかけることもできないのです。
ただし、就業規則にて生理休暇の取得日数に制限はかけられませんが、「有給扱いは1ヶ月に〇日以内」など、有給扱いにする日数の制限はかけられます。
2. 生理休暇の取得率|請求した人の割合は「3.3%」
実際に生理休暇を取得する人の割合は、非常に少ないのが現状です。厚生労働省の調べによると、生理休暇の請求者がいた事業所の割合が3.3%となっています。
女性労働者がいる事業所のうち、平成 31 年4月1日から令和2年3月 31 日までの間
に生理休暇の請求者がいた事業所の割合は 3.3%(平成 27 年度 2.2%)であった。
女性労働者のうち、生理休暇を請求した者の割合は 0.9%(同 0.9%)であった(付属
統計表第 16 表)。
データを見てもわかるように、女性労働者のうち生理休暇を請求した人の割合も0.9%と、1%にも満たない数字です。
「生理休暇があることを知らない。」「生理休暇の取得を言い出しにくい…」など、生理休暇の認知度の低さと、生理休暇を取得しづらい環境が影響しているものと思われます。
3. 生理休暇中の給料|有給にした事業所の割合は「29.0%」
生理休暇を取得する上で、「休んだ分の給料はどうなるのか。」という点が気になるでしょう。
生理休暇が「有給」か「無給」かは、事業所によって異なります。厚生労働省の調べでは、生理休暇を有給とする割合は29%です。
生理休暇中の賃金を「有給」とする事業所の割合は 29.0%(平成 27 年度 25.5%)
で、そのうち 65.6%(同 70.6%)が「全期間 100%支給」としている(表 11,図7,付
属統計表第 14 表)。
一方、生理休暇を無給とする事業所の割合は、67.3%となっています。
無給となる事業所が多いのは、法的に無給であっても問題がなく、就業規則等に定めがないと無給になる可能性が高いためです。
しかし、生理休暇を有給とする事業所のうち、6割以上は「全期間100%支給」となっています。
生理休暇を有給とする事業所割合も平成27年度と比較すると3.5%増と、生理休暇に前向きな事業所も増えてきています。
4. 生理休暇の取得が多いと有給休暇に影響する
生理休暇を有給又は無給にするか以外にも、「有給休暇の消化」とするかどうかも事業所ごとに就業規則で定められます。
「生理休暇が有給休暇の消化」として就業規則で定めがあると、実質「有給休暇として休む」ことになります。
有給休暇日数には制限があるため、生理休暇で有給休暇を消化しすぎると、本来の有給休暇が取得できないことになりかねません。
就業規則にて、生理休暇がどのような扱いになるのか確認しておく必要があると言えます。
年次有給休暇の付与日数についてもご紹介しますので、併せて確認してみてください。
年次有給休暇の取得条件
・半年間継続して雇われている
・全労働日の8割以上出勤している
※2つの条件を満たしていれば取得可能
<年次有給休暇付与日数>
継続勤続年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
※通常労働者の場合を掲載
参照元:厚生労働省
5. 当日でも取得することができる
生理休暇の取得は、出勤する当日の取得が可能です。
事前に請求しなくても、当日の朝「出勤することが困難である」と判断し休んでも良いのです。これは、生理休暇の性質上、予測や事前の申告は難しいためです。
下腹の痛み、腰痛、頭痛など、人それぞれ症状は違います。自分の判断で生理休暇の取得を判断するようにしましょう!
6. 不正に取得すると懲戒処分になる
生理休暇の取得は、「生理日の就業が著しく困難」という条件に当てはまらない場合、取得することはできません。
「生理になったから休める!」というわけではないので、注意しましょう。不正に取得した場合には、懲戒処分となる可能性もあります。
下記のように実際に休職処分となった例もありますので、見ていきましょう!
岩手県交通バスガイド懲戒休職事件
バスガイドの業務に従事していた女性が、生理休暇を請求しました。しかし、生理休暇を取得している日に、民謡大会に出場。判決では「生理日のため就業が著しく困難であったといえない」とされました。
この女性は、他にも年休取得を要請した際の出勤要請を拒否。時季変更権に関する規定「懲戒休職処分の要件」にも該当し、結果、「休職3ヶ月の限度で有効」と判決が下りました。
事業所は、生理休暇の請求があれば認めざるをえません。しかし、不正取得となれば事業所から処分を下されることはあるのです。生理休暇の不正取得は、絶対に行わないようにしましょう。
生理休暇が取りにくいときの対処方法7選!伝え方も解説!
生理休暇が取れるとはわかっても、「請求しにくい…」「周りにどう思われるかな?」と、取りにくいと感じる方も多くいます。
そこで、こちらでは生理休暇が取りにくいときの対処方法を7つご紹介していきます。
対処方法
1. 医師に診断書を書いてもらう
2. 時間単位で取得する
3. 会社の規則を確認する
4. 事前に月経不調が重いことを伝えておく
5. 当日欠席は上司に直接電話する
6. 有給は前日までに申請しておく
7. 生理休暇後はきちんとお礼を言う
上記の対処方法を参考に、生理休暇を取りやすい環境をつくっていきましょう!それぞれの対処方法を詳しく解説していきます。
1. 医師に診断書を書いてもらう
生理休暇を取得するにあたって、診断書の提出の必要はありません。
しかし、生理痛の症状は人それぞれなので、生理痛によって就業が困難であることを理解しがたい人もいます。男性であれば、尚更でしょう。
また、「自己申告だと信じてもらえないかも…」という方も少なくありません。
そういう時、診断書を提出できれば、就業が困難であることを証明できますし、生理休暇を請求しやすくなります。
生理休暇を取りにくく、初めて生理休暇を取得する時は、診断書を提出することをおすすめします。
産婦人科で医師に相談し、診断書を書いてもらうようにしてみてください。
2. 時間単位で取得する
生理休暇は、時間単位での取得が可能です。必ずしも1日単位で休む必要はありません。
例:午後から生理痛が重くなってきたため、早退する。
上記のような形をとってもかまわないのです。
時間単位で取得できるとなれば、「1日休むのは業務に支障が出る…」「薬を飲めば昼からは出勤できそう…」という場合にも取得しやすくなっています。
自分の体調や業務内容と調整を行いながら、生理休暇を上手に取得していきましょう!
3. 会社の規則を確認する
生理休暇は会社の規則によって、基準がきちんと定められている事業所もあります。
就業規則に記載がないか今一度確認してみると良いでしょう。会社の規則できちんと定められている場合は、スムーズに取得しやすくなっています。
もし、就業規則に記載がない場合は、人事部や上司に聞いてみるのもおすすめです。
特に会社の規則には定められていない時でも、生理休暇の取得は可能ですので、申し出てみてください。
4. 事前に月経不調が重いことを伝えておく
生理休暇を取得する前から、上司に生理痛が重いことを伝えておくと良いでしょう。
また、同じ部署の人や、生理休暇の取得で影響の出る方にも、迷惑をかける可能性があることを伝えておくのがおすすめです。
事前に伝えておけば、自分自身も生理休暇を取りやすくなりますし、上司や同僚からしても「生理痛が重いから仕方がない。」と考えてもらいやすくなります。
5. 当日欠席は上司に直接電話・メールする
生理休暇は、いつ就業が困難である程の不調が出るか予測できない為、当日の連絡となるケースがほとんどです。
生理休暇を取得するときは、上司に直接連絡を行いましょう。
「電話」もしくは「メール」での連絡になりますので、予め欠勤する際の連絡手段について確認しておくのも大切です。
ここからは、生理休暇を電話またはメールで伝える際の文例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
電話の伝え方
「おはようございます。○○(氏名)です。大変申し訳ございませんが、今日は生理痛が辛く、仕事に従事することが難しいため、欠勤させていただいてよろしいでしょうか?」
メールの文例
件名:【勤怠連絡】体調不良により欠勤致します ~課〇〇(氏名)
~課 〇〇部長
おはようございます。~課〇〇(氏名)です。
大変申し訳ありませんが、今朝から生理による激しい腹痛と頭痛のため出社が難しい状態です。
本日は静養したく、欠勤させて頂いてよろしいでしょうか。
急ぎの連絡はメールや携帯電話でできれば、と考えております。
なお、今日の○○の件はそれぞれ□□さんへ引き継ぎをしております。
皆様にはご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
何卒よろしくお願い申し上げます。
~課
〇〇(氏名)
生理休暇の取得は認められていますので、「生理が原因」ということはちゃんと伝えるようにしてください。
男性の上司に伝えにくい場合は、直属の上司ではなくても女性上司に伝えると、伝えやすくなります。
そして、始業時間ギリギリとならないよう、出勤することが難しいと感じたら、なるべく早く連絡するよう心がけましょう。
6. 有給は前日までに申請しておく
事前に生理予定日が予測できる場合は、休暇の事前申請をしておくのもおすすめです。
「当日の欠勤では迷惑をかけてしまうから、言いづらい…」なら、「〇日が生理予定日のため、生理痛により休みをいただくかもしれません。」と伝えておきましょう。
また、生理痛は2日目や3日目が重いという方は、生理が来た日に生理休暇の申請を行っておくとスムーズに取得できます。
7. 生理休暇後はきちんとお礼を言う
生理休暇を取得したら、必ず休みをいただいたお礼を伝えるようにしましょう。
上司はもちろん、休んだ際にフォローをしてもらった人へも、きちんとお礼を伝えてください。お礼を伝えることで、上司や同僚も気分よく生理休暇の申請を受け入れやすくなります。
また、日頃から周りの人が欠勤した際には、積極的にフォローに回ったり、手助けしたりしておくことも大切です。
生理休暇を取得しやすい環境づくりは、自分自身でも行っておきましょう!
よくある質問Q&A6選!生理休暇を正しく理解しよう!
ここからは、生理休暇について、以下のよくある6つの質問に回答していきます。
よくある質問
1. 生理休暇の取りすぎでクビになる?
2. 生理休暇を取るのは甘え?
3. 生理休暇が無給は意味ない?
4. 生理休暇が欠勤扱いになることはある?
5. 生理休暇を連続で取っても大丈夫?
6. 生理休暇は公務員でも取れる?
疑問点を解決することで、生理休暇についてより正しく理解していきましょう!
1. 生理休暇の取りすぎでクビになる?
生理休暇の取得日数に制限はないため、生理休暇の取りすぎでクビ(解雇)になることはありません。
生理によって仕事が困難な場合は、取得日数を気にせずに生理休暇を請求してかまいません。
ただし、生理休暇中に遊びに出かけたり、ハードなスポーツやレジャーを楽しんでいたりすると不正扱いになる場合も。
不正取得は、懲戒処分の対象となる可能性がありますので、行わないようにしましょう。
2. 生理休暇を取るのは甘え?
生理休暇を取るのは、甘えではありません。生理休暇は、法律できちんと定められた制度です。
生理痛によって女性は、就業が困難である方もいるということが認められています。辛いときには無理をせず、取得するようにしましょう。
3. 生理休暇が無給は意味ない?
生理休暇が有給か無給かは事業所で定められるため、無給となる事業所もあります。
ただし、生理休暇は生理による体調が悪い時に取得するものです。無給であっても、休むことに意味がないとは言えません。
無理して出勤することで、さらに体調が悪化することも考えられます。無給であっても、生理が重くて不調の場合は、休むようにしましょう。
4. 生理休暇が欠勤扱いになることはある?
生理休暇が欠勤扱いになる可能性は、低いと言えます。
生理休暇が欠勤扱いとなり、賞与や昇給に影響がでるとします。すると、生理休暇の取得を抑制してしまい、労働基準法で定められている権利を損なってしまう懸念があるためです。
しかし、生理休暇に関する「エヌ・ビー・シー工業事件」では以下のような扱いになった場合も。
こちらの判例からわかるように生理休暇は、欠勤扱いとなる可能性はゼロではありません。
心配な方はあらかじめ規則を確認、または上司や先輩に相談してみてください。
5. 生理休暇を連続で取っても大丈夫?
生理休暇は取得日数に制限がないため、連続で休んでも問題はありません。
ただし、生理休暇が無給である場合は、その間の給料はありません。また、生理休暇が有給休暇の消化となる事業所であれば、有給休暇の残数が減ってしまいます。
「給料が減るのは困る!」「有給休暇が無くなってしまう!」という人は、産婦人科を受診し、一度生理痛が重いことを相談して、改善に取り組んでみてください。
6. 生理休暇は公務員でも取れる?
生理休暇は、会社員に限らず公務員でも取得できます。臨時職員やパートでも取得可能です。
ただし、国家公務員の場合、生理休暇の取得は可能ですが無給であることが定められています。
休んだ分の給料は出ませんが、無理をして出勤する必要はありません。公務員でも生理がつらい場合は生理休暇を利用するようにしてみてください。
生理の不調がつらいときは生理休暇を取得してゆっくり休もう!
生理休暇は、生理で就業が困難な場合は、気兼ねなく取得しても良いのです。
こちらの記事でご紹介した、生理が取りにくい際の対処方法を参考に生理休暇の請求を行ってみましょう!
きちんとマナーを守り、生理休暇を取得すれば、上司や同僚から「ずるい!」、「甘えだ!」と思われる可能性を下げることができます。
生理痛でつらい時は無理をせず、法律でも認められた生理休暇でゆっくりと休むようにしていきましょう。