望まない妊娠を回避する最後の砦として、近年注目を集めているアフターピル(緊急避妊薬)。性行為の後に行うことができる唯一の避妊法として、アフターピルの必要性は年々高まりを見せています。
アフターピルは内服してしばらくすると「消退出血」という出血が起こりますが、実はこの出血は薬によって妊娠を防ぐことができたかを示す重要なサインです。ただ出血の期間や量によってはその原因が消退出血ではなく別の病気である可能性もあるため、正常な出血期間、量がどれくらいなのかを知っておく必要があります。
そこでこの記事では、アフターピルの内服後に起こる消退出血の原因と出血が続く期間について解説します。すでにアフターピルを飲んでいる、今後アフターピルの内服を検討していて、消退出血について詳しく知りたい方はぜひ参考になさってください。
消退出血とは?
アフターピルを内服してしばらくすると、消退出血という生理のような出血が起こります。まずは、消退出血とはどのようなものなのか詳しく知っていきましょう。
いつ起きる?
消退出血の時期は人によって差はあるものの、内服後早くて3~4日、遅くても3週間程度が目安となります。個人差があるためこれらはあくまでも目安ではありますが、消退出血が起こるまでの期間は平均で大体10日前後と考えて良いでしょう。
ただし、消退出血はアフターピルの作用によって妊娠を防ぐことができた場合にのみ起こる副作用です。「消退出血がない=避妊が失敗した」ことを表すため、内服から3週間を経過しても消退出血が見られなかった場合には早急に病院を受診しましょう。
また消退出血らしき出血が見られた場合でも、実は消退出血ではなく不正性器出血や妊娠初期流産が引き起こす出血だったというケースもあるため、内服から3週間後のタイミングで妊娠検査薬による妊娠チェックを行うか、病院を受診して医師の診察を受けるようにしてください。
なぜ起きる?
アフターピルを内服すると、なぜ消退出血が起こるのでしょうか。消退出血が起きる原因を知るには、まずアフターピルが女性の身体に与える作用について知る必要があります。
アフターピルは、女性ホルモンの一種である黄体ホルモンのレボノルゲストレルを主成分とする薬です。レボノルゲストレルが女性の身体に与える作用は、主に以下の2つが挙げられます。
1.排卵をストップさせる
2.子宮内膜の状態を変化させて受精卵の着床を邪魔する
自然周期の場合、受精卵が最も着床しやすいのは排卵から5~7日とされています。アフターピルの内服時期が性行為から3日(72時間)以内(エラに関しては5日(120時間)以内)と設定されているのは、この排卵から着床が成立するまでの限られた期間内に薬の作用によって着床を妨害しなければならないためです。
もし着床が成立してしまった場合生殖医学では着床=妊娠成立と規定されているため、この段階からアフターピルによる緊急避妊は行うことができません。(着床後に行うのは早期人工妊娠中絶となります)
アフターピルがもたらすこれらの作用によって着床が妨害されると、着床に備えて準備を整えていた子宮内膜は不要となり体外に排出されます。これによって起こるのが、消退出血です。
消退出血が起こる原理は生理と同じなので、生理がない=妊娠していると判断します。そのため消退出血はアフターピルによる避妊成功の重要な判断指標となっていて、内服後は消退出血の有無を注視しておくことが何より大切です。
なおアフターピルの副作用について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になるかと思いますのでぜひご覧になってください。
生理との見分け方
前述の通り、消退出血が来てようやく避妊成功を確定することができます。では、消退出血と生理による出血にはどのような違いがあるのでしょうか。消退出血といつもの生理は、出血量の点で大きく異なるのが特徴です。
通常の生理では着床に備え、十分に厚みを蓄えた子宮内膜が排出されるため出血量は多くなります。一方消退出血の場合アフターピルが子宮内膜に厚くならないよう働きかけているため、排出される子宮内膜の量が少なくなり生理よりも出血量は少量に収まるのが一般的です。
出血量以外に消退出血と生理の違いを見分ける明確なポイントは今のところありませんが、消退出血が通常通りの周期で来て、出血期間が2~6日程度と通常の生理とさほど大きな違いがなければ問題ありません。
ただしアフターピルの影響で生理周期が早まったり遅くなったりする可能性があるため、その点はあらかじめ把握しておく必要があります。
不正出血との見分け方
前項で解説した通りアフターピルは少なからず生理周期に影響を与えるため、薬の内服以前の周期で出血が起こるとは限りません。したがって、消退出血と不正出血の見分けは残念ながら難しいのが実情です。ただ出血があったタイミングや期間、出血の状態などによっては、不正出血が疑われる場合があります。
不正出血の可能性がある出血の特徴は、以下の通りです。
項目 | 不正出血 | 消退出血 |
時期 | 消退出血の後すぐ、またはしばらくした後 | アフターピルの内服から2日~3週間程度後 |
出血期間 | 1日だけ、もしくは7日以上 | 2~6日 |
出血量 | 大量 | 少量 |
出血の状態 | 点状出血(※) | いつもの生理と同様 |
※点状出血とは・・おりものに血が混じる程度の出血
なおこれらの特徴はすべてに当てはまる場合=不正出血ではなく、どれか一つでも条件に当てはまれば不正出血を疑うというものです。不正出血の特徴の中でも特に注目したいのは出血が続く期間で、不正出血の場合出血が1日だけで終わってしまったり反対に1週間以上にもわたって延々と続くことがあります。
消退出血も生理も2~6日程度続くのが正常範囲ですので、この期間を外れる場合には不正出血の可能性があるため病院を受診しましょう。
着床出血との見分け方
着床出血も不正出血同様、消退出血との見分けは難しいとされています。着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床するときに内膜内を傷つけることで起こる出血です。大体着床は妊娠4週目の時期に起こるため、着床出血が起こるのはちょうど生理予定日あたりとなります。
また、着床出血の出血量は消退出血と同様に比較的少量です。したがって出血時期、出血量の点では着床出血と通常の生理、消退出血との間に明確な違いはありません。着床出血の場合、出血があった時点でそれが着床によるものだと判断できることはほとんどないのが現状です。
妊娠検査薬などで検査を行ったり、病院で診察を受けて妊娠が判明、確定して以降に、「そういえばあの頃に出血があったけど、あれってもしかして着床出血だったかも?」と思い至るというケースが大半を占めます。
病院にいくべき症状
アフターピルの内服後、以下のような症状があった場合には病院に行って医師の診察を受けましょう。
- 大量の出血がある
- 6日以上出血が続く
- 激しい痛みを伴う
- 生理予定日を過ぎても消退出血らしき出血が見られない
通常消退出血は少量に収まりますが、いつもの生理と同じくらい、もしくはそれ以上の出血量があった場合には、ほかの病気を併発している可能性があります。また激しい痛みを伴う場合も同様で、子宮内膜症や性行為による性感染症などのほかの病気にかかっていることも考えられるため症状を自覚したらできるだけ早く医師の診察を受けましょう。
前項でも解説した通りアフターピルの内服後予定の期間内に消退出血があった場合でも、出血が1日だけで終わってしまったり反対に6日以上にわたってだらだらと続く場合にはその出血は消退出血ではなく不正出血の可能性が疑われます。薬の内服後は出血量、出血期間は特に注意して見ておくことが大切です。
一方生理予定日を過ぎても消退出血が見られない場合には避妊が失敗してしまったことが考えられますので、妊娠検査薬で検査を行った後病院を受診し次の対応について医師と相談しましょう。
日常的に避妊したいのであれば低用量ピルがおすすめ
この記事では、アフターピルの内服後に起こる消退出血について解説しました。消退出血は緊急避妊がきちんと成功したかどうかを判定する重要な指標であるため、薬の内服後は出血があったかどうか、出血の状態はどのようなものだったかを注意深く確認するようにしましょう。
また現在妊娠を希望しない場合には、日常的に避妊できる低用量ピルを内服するのがおすすめです。低用量ピルは日常的に内服することで、99%以上の確立で妊娠を回避することができます。低用量ピルの避妊率は飲み忘れなどがなければ100%に限りなく近く、現在女性が行うことができる避妊法の中では低用量ピルは最も確実性が高い避妊法です。
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